日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

ネリカ稲(Oryza glaberrima Steud. × Oryza sativa L.)の耐塩性
-塩ストレス時のNa吸収・遊離アミノ酸・ポリアミンの変化-
*山本 昭洋沈 利星藤原 伸介
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 112

詳細
抄録
ネリカ稲は90年代に西アフリカ・コートジボアールのWARDAにおいて開発された新規のイネである。ネリカ稲は病害虫や乾燥に強いことが知られているが、塩ストレスに対しての生理生化学的な応答については明らかになっていない。そこで本研究ではネリカ稲の耐塩機構を明らかにすることを目的に、それらの耐塩性の検定とともに塩ストレス時におけるNaの吸収性や遊離アミノ酸、ポリアミン含有量の変化について日本型イネ(日本晴)との比較を行った。
ネリカ稲7品種(NERICA 1-7)と日本晴について葉身部のクロロフィル蛍光(ΦII)に対する塩ストレスの影響を調べたところ、NERICA 2を除くとネリカ稲は日本晴よりもΦII低下の程度が抑えられており、耐塩性が強いことが認められた。塩感受性品種のNERICA 2や日本晴では葉身部へのNaの蓄積が大きく、また遊離アミノ酸含有量も塩処理によって増加した。ネリカ稲は7品種とも葉身部のポリアミン含有量が日本晴よりも高く、特にスペルミジン含有量が最も高かった。塩処理によって葉身部のポリアミン含有量は著しく低下したが、耐塩性の最も強かったNERICA 1では比較的高く維持されていた。以上のことから、ネリカ稲の耐塩性には葉身部へのNaの移行の抑制だけでなく、ポリアミンの生合成能力や代謝能力も関係していることが示唆された。
著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top