日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナcDNAマイクロアレイを用いた塩性植物Thellungiella halophilaのゲノム機能解析
*太治 輝昭関 原明佐藤 将一鳴坂 義弘鳴坂 真理小林 正智Jian-Kang Zhu篠崎 一雄
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p. 119

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抄録
塩性植物であるThellungiella halophila (salt cress)はArabidopsisの近似種で、外観の類似性以外にも、植物体が小さい、生活環が短い、種子の多産といったArabidopsis同様の形質を持つ。さらに塩基配列レベルでArabidopsis遺伝子の90-95%の相同性を有する。T.halophilaは500mMの塩水下でも生育することが出来るが、塩線や特別な形質変化を伴うことなく塩ストレスに適応する。このことからT.halophilaの耐塩性は非塩性植物の耐塩性機構と似た機構を用いていることが想像された。そこでT.halophilaの耐塩性機構を調べるために、Arabidopsis cDNA microarrayを用いてマイクロアレイ解析を行った。その結果、T.halophilaはArabidopsisに比べて、ストレス非存在下で塩ストレスを含む非生物ストレス誘導性遺伝子および生物ストレス誘導性遺伝子も高発現させていることが明らかとなった。活性酸素消去系の遺伝子が高発現していたことからT.halophilaに活性酸素ストレスを与えたところ、予想通り活性酸素にも耐性を示した。これらの結果からArabidopsis のcDNA microarrayを用いた解析が、その近似種であるT.halophilaの耐性機構を調べるのに有効であることが示された。
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© 2004 日本植物生理学会
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