日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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単細胞性紅藻Cyanidioschyzon merolaeにおける2個のオルガネラ局在型DNAポリメラーゼの同定
*森山 崇宮島 一徳黒岩 常祥佐藤 直樹
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p. 128

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抄録

 植物・藻類では、オルガネラゲノムの複製酵素は同定されていない。ゲノムプロジェクトによりゲノム塩基配列が決定されたArabidopsis thalianaや単細胞性紅藻Cyanidioschyzon merolaeには、ミトコンドリアの複製酵素と考えられているDNAポリメラーゼγは存在していない。C. merolaeの核ゲノムから、大腸菌DNAポリメラーゼIと相同なDNAポリメラーゼをコードする遺伝子が2個見つかった (PolA、PolBと呼ぶ)。
 PolAとPolBの細胞内局在を、GFPと単離プラスチドについての免疫ブロットで調べた。これらの結果から、PolAとPolBはプラスチドとミトコンドリアの両方に局在することが示唆された。PolAとPolBをチオレドキシンとの融合タンパク質として発現、精製し酵素活性を測定した。PolAとC. merolaeのプラスチド核様体のDNA合成活性に対する阻害剤の効果を調べた。その結果、100 μM ddTTPを加えた時PolAの活性はほぼなくなるが、プラスチド核様体の活性は半分になった。この結果は、C. merolaeのプラスチド核様体には2種類のDNAポリメラーゼが存在することを示唆している。現在、C. merolaeの同調培養を行っており、細胞周期におけるPolAとPolBの発現パターンを調べる予定である。

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© 2004 日本植物生理学会
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