日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

亜硫酸還元酵素のDNA結合性の研究
*戸川 友宮島 一徳森山 崇長谷 俊治佐藤 直樹
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 129

詳細
抄録

亜硫酸還元酵素(SiR)は植物では核ゲノムにコードされ、プラスチドのストロマに局在するタンパク質で、エンドウではプラスチド核様体の主要構成成分であることが示されている。プラスチドDNAは、細胞内共生体であるシアノバクテリアに起源を有すると考えられているが、SiRの相同タンパク質がシアノバクテリアの核様体を構成する成分であるかは明らかでない。本研究では、シアノバクテリアAnabaena sp. PCC 7120、および単細胞性原始紅藻Cyanidioschyzon merolae 10Dの亜硫酸還元酵素のDNA結合能を調べることを目的とした。N末端にGST、C末端にヒスチジンタグをつけたものを大腸菌を用いて発現させ、カラム操作等により可溶性のSiRタンパク質をほぼ単一に精製した。シロヘム合成酵素をコードする遺伝子を導入したプラスミドを宿主に共存させたところ、SiRの発現量が多くなった。可視部吸収スペクトルの測定により、これが発色団をもつタンパク質であることが確認された。GST融合タンパク質を抗原として作製した抗体は、紅藻の単離核様体と反応した。葉緑体DNAと精製SiRタンパク質を混合し、蛍光顕微鏡で観察したところ、顆粒がみられた。SiRのDNA結合性について、さらにゲルシフト解析などにより詳しく調べている。

著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top