日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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タバコのオルガネラ型DNAポリメラーゼ遺伝子の単離と解析
*小野 友里子武智 克彰滝尾 進酒井 敦高野 博嘉
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p. 127

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抄録

植物のオルガネラ(色素体とミトコンドリア)のDNA複製機構については不明な点が多い。我々は、タバコBY-2細胞のオルガネラ核を用いた生化学的解析により、オルガネラDNAの合成が細胞増殖初期に一過的に活性化されること、両オルガネラのDNAポリメラーゼの性質は互いに酷似しており、動物や菌類のミトコンドリアDNAポリメラーゼ (polγ) よりも細菌のDNAポリメラーゼI (polI) に近いことを明らかにしている。アラビドプシスのゲノム中にはpolγ相同遺伝子は同定できず、代りに色素体とミトコンドリアへの輸送が予測される二つのpolI相同遺伝子が存在する。最近、イネでは実際にpolI型DNAポリメラーゼが葉緑体で働いていることが確認された。我々は、タバコESTクローン中からpolIの3'→5’エキソヌクレアーゼドメインと相同性を示すクローンを見いだし、RACE法によりcDNAの全長を単離した。1152アミノ酸からなる推定翻訳産物はTargetPプログラムにより葉緑体への移行が高い確率で予測された。アミノ酸配列を用いた分子系統樹は、この遺伝子がpolγより植物のpolI相同遺伝子に類縁であることを示唆した。また、RT-PCRによる発現解析の結果、mRNA量は培養開始直後に増大し、培養後期には減少することが分かった。

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© 2004 日本植物生理学会
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