日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネのエリシターシグナル伝達に関与する電位依存性Ca2+チャネルの同定と機能解析
*来須 孝光矢柄 寿一宮尾 安藝雄廣近 洋彦朽津 和幸
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p. 142

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抄録
植物の感染防御応答の初期過程において、膜電位の脱分極に伴う細胞外からのCa2+流入がシグナル伝達に重要な役割を果たすと考えられているが、Ca2+動員機構やその分子的実体は、不明な部分が多い。最近我々はイネから膜電位依存性Ca2+チャネル候補遺伝子OsTPC1を単離し(2002年本大会)、その機能を解明するために、過剰発現体を作製すると共に、レトロトランスポゾン(Tos17)の挿入による遺伝子破壊株(Ostpc1)を単離した。イネ培養細胞にタンパク質性エリシターを処理して、過敏感細胞死を伴う防御応答を誘導したところ、過剰発現体では、MAPキナーゼの活性化や防御応答が著しく促進され、エリシターに対する感受性が高まったのに対して、Ostpc1では顕著に抑制されていた。これらの結果からOsTPC1は、植物の感染防御応答において、Ca2+流入を制御することにより、MAPキナーゼカスケードの活性化やプログラム細胞死の誘導を含む生体防御反応の調節因子として重要な役割を果たしていると考えられる。
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© 2004 日本植物生理学会
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