日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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単細胞緑藻Nannochloris bacillarisのNbSepは細胞質分裂が起こる細胞の中央にリング状に局在する
*山崎 誠和野村 英雄岡田 悟河野 重行
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p. 146

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抄録

細胞質分裂は動物細胞と植物細胞でその機構が異なる.動物細胞では,アクチンとミオシンを主要な構成因子とする収縮環が分裂面で収縮し,細胞質が分裂する.高等植物では,細胞分裂面で細胞板が形成されることによって細胞質が分裂する.一方,単細胞緑藻類の細胞質分裂に関与する因子についてはほとんど知られていない.セプチンは,動物と菌類でのみ知られる細胞質分裂因子であり,細胞質分裂面に局在するGTPaseである.今回,単細胞緑藻N.bacillarisの核ゲノムで新たに見出されたセプチンNbSepついて報告する. NbSepは,セプチンに特有なGTPaseドメインをもち,ドメイン間の相同性はCDC10(出芽酵母)と41%,Peanut(ショウジョウバエ)と45%,Sept2(ヒト)と42%であった.また,分子系統解析の結果,NbSepは菌類のセプチンと同じグループ1に含まれていた.動物と酵母のセプチンはGTPの加水分解をともなう重合によって繊維状の構造体を形成する.大腸菌で強制発現したNbSepにGTPを加え室温で反応させると,粒状のタンパク質が繊維状(2μm以上)に連なった構造体が観察された.N.bacillarisは3から6μmになり二分裂で増殖する.NbSepの抗体を作製し,細胞分裂時の挙動を解析したところ,NbSepは細胞質分裂が起こる細胞中央にリング状に局在することが明らかとなった.

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© 2004 日本植物生理学会
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