日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナδVPEは種皮形成過程のプログラム細胞死に関与する
*中畦 悟山田 健志近藤 真紀西村 幹夫西村 いくこ
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p. 145

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抄録
液胞プロセシング酵素(VPE)は、液胞タンパク質の成熟化に関わる新規のシステインプロテアーゼである.これまで,シロイヌナズナの3種類のVPE遺伝子(αVPE,βVPE,γVPE)の解析から,βVPEは種子特異的,αVPEとγVPEは栄養器官特異的に発現し,それぞれ特殊化した機能を果たしていることが分かってきた.最近,シロイヌナズナの遺伝子データベースから新たなVPEホモログが見いだされ,δVPEと名付けた.δVPEのアミノ酸配列を既知の全てのVPEホモログと比較したところ,δVPEは種子型VPEs,栄養器官型VPEsとも異なるタイプであることが示唆された.この新規VPEの生理学的な機能を解明する目的で,δVPEに対する特異的抗体を作製した.イムノブロット及び蛍光抗体染色によってその局在を調べたところ,δVPEは種子の発生段階の初期に内珠皮の特定の細胞層(ii2・ii3層)に一過的に発現していることが分かった.δVPEが発現している層では種子形成の過程で細胞死が起きており,δVPE欠損株では内珠皮の細胞死に遅れがみられた.また,細胞死が起きる時期に電子密度の高い構造体が細胞膜と細胞壁の間に現れ,その新規の構造体にδVPEが局在することを明らかにした.これらの結果は,δVPEが内珠皮特定層の細胞死に重要な役割を果たしていることを示している.
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© 2004 日本植物生理学会
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