日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネの開花制御における光中断の遺伝子発現に与える影響
*石川 亮横井 修司島本 功
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p. 156

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抄録
 イネは開花遺伝子として、長日植物シロイヌナズナと同じ遺伝子であるOsGIHd1Hd3a遺伝子(シロイヌナズナ:GI, CO, FT )を有していることが明らかになっており、我々はイネとシロイヌナズナの花芽誘導機構の違いを遺伝子レベルで説明した。本研究では、イネの光周性花芽誘導機構の解明に向けて開花関連遺伝子間の相互作用を解析するため、短日植物に特有な光中断による花成遅延現象を利用して発現解析を行った。光中断に関する生理学的な報告は複数の短日植物に見られるが分子生物学的な報告はこれまでに殆どない。
 播種1ヶ月後のイネに暗期の中央で2時間の光中断処理を一度行った結果、開花のスイッチとされるHd3a遺伝子の急激な発現抑制が見られた。また光中断によってCAB1R遺伝子の発現パターンが両処理条件において酷似していることから、CAB1Rを制御する概日リズムの位相変化が生じていないことが示唆された。次に光中断処理を暗期の前半と後半に処理したところ、Hd3aの強い発現抑制は観察されなかった。さらにフィトクロム経路に変異の生じたse5変異体に対して光中断処理を行ったところ、Hd3aの発現抑制は観察されなかった。この結果はフィトクロム経路が光中断によるHd3aの発現抑制に関係していることを示唆している。
本発表では光中断による解析結果から、現在までに得られた内在性のリズムと光の直接刺激の統合によるイネの花芽形成機構について考察する。
 
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© 2004 日本植物生理学会
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