日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネOsMADS50/OsSOC1の開花制御における役割
*横井 修司Shinyoung LeeGynheung An島本 功
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p. 157

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抄録
 植物にとって光周性による開花制御は、生殖を成功させる上で非常に重要な戦略である。我々はこれまでに長日植物のシロイヌナズナと短日植物のイネが開花関連遺伝子として相同の遺伝子セットを持つが、一部の制御機構を逆転させることで、日長への反応を逆にしていることを報告した。
 我々はT-DNA挿入変異体のスクリーニングから、自然日長条件下で遅咲きになる変異体を単離した。この変異体の長日条件下と短日条件下における出穂時期を調査したところ、短日条件下では野生型と変わらず、播種後80日前後で出穂がみられたのに対し、長日条件下では野生型よりも50日前後遅く出穂が確認された。T-DNAはOsMADS50/OsSOC1遺伝子の第4イントロンに挿入しており、発現解析から遺伝子の発現が認められないnullの変異体であることが明らかになった。OsGI ・Hd1Hd3aの発現を調査したところ、両条件下においてどの遺伝子の発現パターンも野生型と顕著な差は認められなかった。これらの結果と欠失変異体において短日条件で開花遅延の表現型が認められないことと考え合わせると、イネにおいてOsMADS50/OsSOC1は、OsGIHd1Hd3aを介した光周性の経路とは別の経路で機能しており、長日条件下でのイネの開花に関与している遺伝子であることが示唆された。本発表では、OsMADS50/OsSOC1の変異体を用いた解析から新規の開花シグナル経路の存在の可能性を報告する。
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© 2004 日本植物生理学会
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