抄録
AtC401は、アサガオにおいて花成誘導暗期特異的に発現する新規時計制御遺伝子PnC401のシロイヌナズナ相同遺伝子である。C401遺伝子は、高度に保存されたpentatricopeptide repeat(PPR)ドメインをもつタンパク質をコードするが、その機能は未知である。これまでに、我々はAtC401の発現が概日時計によって制御されることを明らかにしてきた。また、ホタルルシフェラーゼ遺伝子(luc+)を用いたレポーター解析により、転写開始点下流の5’UTR配列が概日発現制御に関わることが示唆された。そこで、シロイヌナズナ培養細胞を用い、概日発現制御に関わるプロモーター領域の絞り込みを進めた。その結果、転写開始点下流の5’UTR 73 ntを含む断片86 ntは、概日発現制御に十分であることが明らかとなった。この断片は、TATA boxを含まず、TATA boxを介さない転写装置によってAtC401の転写が制御されることが強く示唆された。AtC401プロモーターは、転写開始点付近の保存配列Inr(YYANWYY; Y=C/T, W=A/T)と5’UTRに4回のGAKAA(K=T/G)リピート配列を含むため、AtC401の転写制御においては、Inrが基本プロモーターとして機能し、GAKAAリピートが概日発現制御に機能すると予想している。現在、この仮説の検証を進めており、併せて報告する予定である。