日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナのbHLH転写因子群と概日時計機構との関わり
*山篠 貴史藤森 徹加藤 貴比古水野 猛
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p. 166

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抄録
モデル植物シロイヌナズナを用いた概日時計分子メカニズムの解析が精力的に行なわれ、その全体像が明らかになりつつある。我々は、Arabidopsis pseudo response regulator(APRR)と名付けた5つの時計関連ファミリー遺伝子について、時計関連の機能に着目して解析を進めている。特にAPRR1は中心振動体構成因子TOC1と同一であり、残りのAPRRファミリー因子も時計機能に密接に関連していることが予想された。事実、各種APRR遺伝子のT-DNA挿入変異株や過剰発現植物体の解析から、APRR因子群が協調して概日リズム、花成制御、光応答形態形成などの時計関連の生理応答に深く関わっていることが明らかになりつつある。しかし、APRR1/TOC1自身を含め、APRR因子群の具体的分子機能は不明である。この点を解析するアプローチの一つとして我々はAPRR1と相互作用する因子を検索し、Phytochrome Interacting Factor 3 (PIF3)を含むbHLH型転写因子ファミリーを同定した(PIL因子ファミリーと命名)。中でも特にPIF4、PIL6、PIL8の転写発現は概日リズムを示すことが分かり、時計機構との関連が示唆された。今回は、PIF4, PIL6, PIL8の過剰発現体を用いて光感受性・花成時期・概日リズムに関して解析した結果を報告しながら、これら新規に見いだされたbHLH転写因子の光情報伝達機構や概日時計機構との関わりについて考察する。
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© 2004 日本植物生理学会
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