日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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Synechococcus elongatus PCC7942の概日入力系におけるpex遺伝子の役割
*高井 直樹池内 進吾眞鍋 勝司沓名 伸介
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p. 170

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抄録
概日時計関連遺伝子pexperiod extender)は概日リズムの周期を延長させる能力を持っており、pex遺伝子を破壊すると周期は1時間短くなり、過剰発現すると3時間長くなる (Kutsuna et al., 1998)。そして、これまでの研究により、このpex遺伝子は、概日時計の必須遺伝子kaiAの発現調節を介して周期を延長していることがわかってきた。しかしながら、pex遺伝子の周期調節能がどのような役割を持っているのかは不明である。最近になって、環境の明暗の変化に対してpex発現が誘導されることがわかったので、我々は、pex遺伝子の光環境における時計機能を生理学的に解析した。連続明で培養したpex破壊型と野生型の概日リズムの位相に差はなかったが、明暗サイクルの下で培養した場合、pex破壊型のリズムは野生型のリズムより約3時間位相が前進することがわかった。この結果と、pex遺伝子が概日時計の周期延長因子であることから、暗期の繰り返しによって発現したPexタンパクは概日時計のサイクルを遅くすることで、時計の運行を環境サイクルに調和させているという概日入力系モデルが考えられる。
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© 2004 日本植物生理学会
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