日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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DNA脱メチル化によるシソの花成誘導
*近藤 洋尾崎 寛子伊藤 紀美子加藤 朗竹能 清俊
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p. 177

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抄録
 シソは短日処理で誘導された花成状態が長期間持続する特徴があり、これはバーナリゼーションにおける低温効果が長期間維持されることを連想させ、両者に共通する機構の存在を想起させる。バーナリゼーションにはDNAメチル化・脱メチル化による遺伝子発現制御が関与することが報告されている。
 そこで、赤ジソ品種を用いて、種子または茎頂を250μMの5-azacytidineで処理したところ、短日処理なしに花成を誘導できた。5-azacytidine処理により若干生長が抑制されたが、その他に顕著な異常はなく、脱メチル化による花成関連遺伝子の発現変化が花成誘導に関与していると考えられた。
 rDNAスペーサー領域ではDNAがメチル化していることが知られているので、5-azacytidine処理区および無処理区の葉から抽出したゲノムDNAを、メチル化DNA感受性の制限酵素Hpa IIまたは非感受性酵素Msp Iで切断後、25S-18S rDNAスペーサー領域をプローブとしたサザンハイブリダイゼーションを行った。その結果、処理区ではシグナルパターンが低分子側にシフトしたことから、5-azacytidine処理によってDNAが脱メチル化されたことが明らかになった。これらの結果から、シソの花成にはDNA脱メチル化が関与することが示唆された。
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© 2004 日本植物生理学会
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