日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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GL2型ホメオボックス遺伝子FWAを用いた花成制御機構の解析
*池田 陽子小林 恭士阿部 光知荒木 崇
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p. 176

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抄録
シロイヌナズナの優性花成遅延変異体fwaでは、プロモーター領域のDNAメチル化の低下により、GL2型ホメオボックス遺伝子FWAが異所発現していることが報告されている。我々はFWA遺伝子が野生型植物の栄養成長期には発現していないことを確認した。したがって、異所発現したFWA遺伝子の異所発現によって、本来の制御機構が撹乱され、花成が阻害されると推測される。遺伝学的解析の結果、FWAFTそのもの、あるいはFTの下流の因子を阻害すると推測された。そこで、FWAを用いることによりFTより下流の制御経路についての情報が得られると期待し、FWA蛋白質によって機能が阻害されるような蛋白質の候補の探索を行った。yeast two-hybrid系を用いてFTおよびその下流のbZIP型転写因子FDなどの花成制御因子との相互作用を検討した結果、FWAはFTとのみ強く相互作用した。また、in vitro においてもFWAとFTの相互作用が認められた。これらの結果から、異所的に発現したFWAはFTと強く相互作用することにより、FTとFDの相互作用を阻害し、花成を阻害している可能性が考えられた。また、fwaの表現型の全てがFT機能の阻害で説明できるわけではないことから、FWAと相互作用する他の蛋白質についてもスクリーニングを行っており、その結果もあわせて報告する。
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© 2004 日本植物生理学会
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