日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナの転写情報仲介因子MBF1の機能解析
*津田 賢一広瀬 進山崎 健一
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p. 191

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抄録
 MBF1 (Multiprotein bridging factor 1)は真核生物で広く保存された約140アミノ酸からなるタンパク質で、酵母、ヒト、ショウジョウバエなどでは、主にbZIP型転写因子とTBPとの間にブリッジ構造を形成し、標的遺伝子の転写を活性化する転写コアクチベーターとしての機能が報告されている。しかし、植物における機能についてはほとんど解明されていない。
 我々はシロイヌナズナに3種存在するMBF1ホモログ(AtMBF1a, AtMBF1b, AtMBF1c)のコアクチベーターとしての機能を酵母のmbf1欠損体を用いた相補性実験により調べ、3つのAtMBF1は全て酵母mbf1欠損体の表現型を部分的に相補することを明らかにした。さらに、ファーウェスタン法を用いた実験から、AtMBF1とTBP, 酵母のbZIP型転写因子であるGCN4が直接結合することがわかった。これらのことはシロイヌナズナの3つのMBF1ホモログが転写コアクチベーターとして機能することを示している。また、3つのMBF1遺伝子の組織特異的発現や植物ホルモン、刺激に対する応答をノーザン法やそれぞれのプロモーター::GUS遺伝子を持つ形質転換体を用いて調べたところ、それぞれ異なる発現様式を示した。これらの結果と現在行っているT-DNA挿入変異体の解析からシロイヌナズナにおけるMBF1の役割について考察する。
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© 2004 日本植物生理学会
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