日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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Synechocystis光化学系II D1蛋白質C末端変異株の酸素発生系の性質: (2) フーリエ変換赤外分光法による研究
*山成 敏広木村 行宏水澤 直樹石井 麻子小野 高明
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p. 215

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抄録
光合成酸素発生反応の触媒中心は光化学系IIに存在する4核Mnクラスターであるが、その詳細な構造は不明である。本研究ではMnクラスターの推定上の配位子の一つD1タンパク質のC末端Ala344をGly, Val, Aspで置換したSynechocystis sp. PCC 6803変異体(A344G, A344V, A344D)から調製した光化学系IIコア標品について光誘起S2/S1赤外吸収差スペクトルを測定し、変異がMnクラスターに与える影響を検討した。すべての変異体でカルボキシレート配位子由来のバンド (1600 - 1300 cm-1)が、野生株と比較して顕著に異なっていた。また、A344Gでは1112(-) cm-1のバンドが強く出現し、A344VではアミドI, II領域にも大きな変化が見られた。以上の結果は、C末端アミノ酸側鎖のわずかな違いがMnクラスター周辺のタンパク質、アミノ酸配位子の構造に大きな影響を与えている事を示している。また、Alaと構造的に最も類似したGly置換体(A344G)において、Mn-O-Mn骨格振動に帰属されている606(+)/625(-) cm-1のバンドに顕著な変化が見られ、Mnクラスター自身の構造に変化が起こっている事が示唆された。
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© 2004 日本植物生理学会
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