抄録
シアノバクテリアのPS II単結晶S0とS2状態で6Kの低温でW-バンド(95GHz)の周波数でマルチラインEPRが観測された。マルチラインはS2状態で21本の超微細構造よりなり,これは4個のマンガンがスペクトルに関与していることを示す。超微細構造は結晶の方向に拠らず等方的であるが,各スペクトルの位置は角度とともに変化するので、無配向試料では信号は観測されない。NH2OHで還元して得られたS0状態でも似たスペクトルが観測された。これらの結果はg-因子の異方性を考慮してシミュレーションを行っている。