日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

Synechocystis光化学系II D1蛋白質C末端変異株の酸素発生系の性質:
(1)生育・活性・蛋白質組成・Mnクラスター
*水澤 直樹石井 麻子中澤 重顕寺本 陽彦小野 高明
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 214

詳細
抄録
光化学系II(系II)D1蛋白質前駆体はC末端延長部分がプロセッシングを受け成熟化するが、切断により露出するC末端アラニン(A344)のカルボキシル基が酸素発生系Mnクラスターの配位子となっていると提唱されている。 本研究ではA344をGly、Val、Aspに置換したSynechocystis sp. PCC6803変異株(A344G、A344V、A344D)を作製し、変異がMnクラスターの構造と機能に与える影響を検討した。変異導入のためのホスト株はSer345をstopコドンに置換して延長配列を予め欠失させ、さらにHisタグをCP47C末端に付与してある。光独立栄養条件(50 μE m-2s-1)では、A344G、A344 V株はS345-stop株とほぼ同等の、A344D株はかなり遅い生育速度を示し、それぞれの細胞はS345-stop に対し90、 90、40%の酸素発生活性を示した。光強度を200 μE m-2s-1に上げると、A344G、A344Dは光独立栄養的に生育できなくなった。A344G、A344D両株は熱発光Q-バンド(S2QA-)、B-バンド (S2QB-)ともにピーク温度がS345-stopに比べ5oC高温にシフトしていた。変異株からNiカラムにより単離した系IIコア標品のポリペプチド組成は変異によって影響を受けていなかった。以上の結果はA344のGly、Aspへの置換はMnクラスター自身もしくはその近傍に直接影響を与えることを示唆している。現在、変異がMnクラスターの構造に与える影響を検討するためEPR測定をおこなっており、その結果もあわせて報告する。
著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top