日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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Ca2+除去試料S1―S2状態遷移の中間体ESR信号の解析
*三野 広幸伊藤 繁
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p. 220

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抄録
植物の酸素発生は光化学系IIにある4つのマンガンからなるマンガンクラスターで行われると考えられている。 マンガンクラスターは酸化状態の低いものからそれぞれSi (i = 0-4 )と表記される。 我々はCa2+除去試料を用いてS1状態で245 Kで短時間(10 s )の光照射によりg=2近傍にbroadな信号が観測されることを今回見出した。 この条件では273 K暗所で静置することによりTrapされたYZラジカルとともにbroad信号は消失し、代わりにS2マルチライン信号が生成する。 TrapされたYZラジカル信号とマルチラインの量はよく対応しており生成したマルチライン信号がTrapされたYZラジカルによる酸化であることがわかる。 一方Broad信号のkineticsはYZラジカルとよく一致しているが生成量はかなり小さい。 broad信号は、同時に観測されているYZラジカルとは明らかに無関係な起源をもち、マンガンクラスターとその近傍に生成したラジカル種との磁気的相互作用由来と考えられる。 
 
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© 2004 日本植物生理学会
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