日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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5 Kピコ秒蛍光寿命測定によるPSII内のエネルギー移動の観測
*小村 理行柴田 穣伊藤 繁
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p. 219

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抄録
光化学系II(PSII)は77 Kで685 nm(F685)、695 nm(F695)に蛍光ピークを示し、それぞれコアアンテナCP43、CP47上のクロロフィルaの蛍光とされる。シロイヌナズナ生葉のピコ秒領域での蛍光の減衰過程を77 Kよりさらに低い5 K、40 Kで測定し、F685、F695の他に687 nm付近にピークを持つ新しい成分(F687)の存在を確認した。温度が上がるとF687の減衰は速くなった。77 KでもF687は観測されるが、減衰が速くバンド幅も広がるため遅い時間領域ではF695と重なり識別できなかった。単離したホウレンソウPSII 、シアノバクテリアSynechosystis sp. PCC6803のチラコイド膜標品でも5 K-77 Kの範囲でF687は観測され、多くの種においてF687が存在することが確認された。シアノバクテリアは高等植物と比較しF685、F687、F695の減衰が速い。各蛍光バンドの立ち上がりと減衰の過程からPSII内の励起エネルギー移動のモデルを構築した。
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© 2004 日本植物生理学会
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