日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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褐藻カヤモノリの鞭毛局在フラビンタンパク質の解析
*藤田 悟史伊関 峰生渡辺 正勝吉川 伸哉本村 泰三川井 浩史村上 明男
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p. 223

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抄録
 褐藻類は、生活史の特定のステージで2本の鞭毛を持つ遊泳細胞を放出する。ある種の褐藻類の遊泳細胞は顕著な走光性反応を示し、それらは共通して 1)眼点を有する、2)眼点と対峙する鞭毛基部に膨潤部が存在する、3)膨潤部を持つ鞭毛はフラビン由来と思われる緑色蛍光を発する、という特徴をもつ。一方、遊泳細胞の走光性作用スペクトルは、フラビンがその光受容に関与することを示唆している。我々は、褐藻類の鞭毛に局在し光受容体の候補となるフラビンタンパク質を同定するために、鞭毛の単離とタンパク質の精製を試みた。
 褐藻カヤモノリScytosiphon lomentariaの成熟藻体から放出した遊泳細胞を大量に集め、振盪処理と分画遠心により鞭毛を単離した。この鞭毛分画を凍結融解し、可溶成分に含まれるフラビンタンパク質をイオン交換とゲルろ過により分離した。各画分を熱変性させ蛍光スペクトルを測定したところ、120mM NaClおよび40kDa付近の溶出位置にフラビン蛍光のピークが見出された。同じ画分のSDS-PAGE分析により、フラビンは41kDaのタンパク質に結合していることが示された。抽出色素のTLCでは、FMNと同じ移動度のフラビンが検出された。以上の結果は、カヤモノリの鞭毛にFMNを非共有結合する分子量41,000のフラビンタンパク質が存在することを示唆している。
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© 2004 日本植物生理学会
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