抄録
ペクチンは一次壁の主要な多糖で、ホモガラクツロナン、ラムノガラクツロナンI (RG-I)、ラムノガラクツロナンII (RG-II)の3つの多糖から成る。RG-Iは GalA-Rha二糖をくり返し単位とし、RhaのC-4位にアラビノースやガラクトースから成るオリゴ糖側鎖が結合している。ガラクトース転移酵素(GalT)研究は14C-ラベルしたガラクトース(Gal)の取り込み量によって測定されてきた。本研究ではガラクトオリゴ糖(重合度DP 1-7)の還元性末端を2-アミノベンズアミド(2AB)により蛍光標識した2AB化ガラクトオリゴ糖を受容体として用い、生成物をHPLC, LC/MS NMR、酵素加水分解により解析した。2ABガラクトオリゴ糖(DP 6)、UDP-Galとモヤシミクロソーム画分を反応させると、2時間後にはDPが20に達した。反応生成物のLS/MS、 1H NMR分析、酵素加水分解の結果より、酵素転移産物はβ-1, 4-ガラクトオリゴ糖であることが確認された。Galを側鎖にもつ2ABラベル化RG-IはGalTの受容体となったが、Galを持たない2ABラベル化RG-Iオリゴ糖は受容体にならなかった。