日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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アラビノガラクタン-プロテインの糖鎖合成に関わるβ-ガラクトース転移酵素
石澤 敏洋小竹 敬久三浦 剛稲津 敏行*円谷 陽一
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p. 240

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抄録
 アラビノガラクタンプロテイン(AGP)は高等植物の細胞間マトリックスや細胞膜に存在し、器官の分化・成長に伴いその糖鎖構造が変化する。AGPの糖鎖の基本骨格はβ-3,6-ガラクタンで、側鎖を構成するβ-1,6-結合したGal残基にα-L-Arafやβ-GlcAあるいは4-Me-GlcA等が結合した分岐構造を有している。本研究ではAGPの糖鎖の生合成の解明を目的としてβ-ガラクトース転移酵素(GalTase)の諸性質およびGal転移生成物について解析した。
 ダイズの黄化胚軸のミクロソーム画分を酵素源、UDP-[14C]Galを供与体、β-1,3-ガラクタンを受容体として用い、高分子画分へのGal転移量を測定して酵素活性を求めた。GalTaseの最適pHは5.7で、0.75% Triton X-100と15 mM MnCl2を含む条件で最大活性を示す(比活性約500 pmol/min/mg protein)。[14C]Galの転移生成物をエキソ-β-1,3-ガラクタナーゼで分解するとβ-1,6-[14C]Gal2が主な産物として生じるので、Gal残基は主にβ-1,6-結合でβ-1,3-ガラクタンに転移されて分枝結合を形成すると思われる。結合様式が異なるガラクトオリゴ糖の受容体活性を調べた結果、β-1,3-Gal2-5は受容体として働き、重合度が大きくなるにつれ活性も高まった。β-1,6-Gal2-6はわずかな活性しか示さなかった。これらの性質はダイコン一次根のGalTase[1]と類似している。
[1] Kato et al., Planta, 217 (2003) 271
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© 2004 日本植物生理学会
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