日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナのT-DNA挿入突然変異体を用いたエンド型キシログルカン転移酵素/加水分解酵素(XTH)遺伝子群の網羅的機能解析
*松井 章浩横山 隆亮西谷 和彦
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p. 243

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抄録
XTH (エンド型キシログルカン転移酵素/加水分解酵素) 遺伝子はキシログルカン分子間の繋ぎ換えや加水分解の活性を持つ一群の酵素をコードする遺伝子であり、細胞壁の構築や再構築において重要な役割を担うと考えられている。シロイヌナズナのXTHは合計33の遺伝子にコードされている。これらXTH遺伝子の発現は器官や発生段階によってそれぞれ異なる事から、各XTH遺伝子が植物体内において個別に役割を分担しているとする仮説を私たちは提唱してきた。この仮説を実証するために、各XTH遺伝子について、欠損変異体をシロイヌナズナのT-DNA挿入変異体の中より単離し、その形態の解析を進めてきた。33のシロイヌナズナXTH遺伝子のうち、現在までに24遺伝子について変異体を単離した。このうち、大部分の変異体では巨視的な形態上の異常が観察されなかった。一方、XTH12XTH27遺伝子の変異体では、それぞれ根の伸長異常とロゼット葉で斑点状の細胞枯死が観察された。これらの結果はXTH遺伝子群が多くの部分で機能的に重複をしている事を示唆すると同時に、特定の組織や発達段階において単独で重要な役割を担うXTH遺伝子が存在する事を示している。これらの形態観察と遺伝子発現の結果を合わせて、XTH遺伝子群の植物における役割を考察する。
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© 2004 日本植物生理学会
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