日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

タバコ(Nicotiana tabacum, Nicotiana benthamiana)の細胞壁タンパク質polygalacturonase β-subunitの解析
*岸 光子村田 隆長谷部 光泰渡辺 雄一郎
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 242

詳細
抄録
高等植物、糸状菌、細菌などに存在するpolygalacturonase(PG)は、植物細胞壁を構成するペクチンを加水分解する。植物内在性のPGは葉において器官脱離・病原抵抗性に関与する事が知られている。polygalacturonase β-subunit(PGβS)はPG活性を持つサブユニットに強固に結合し、触媒活性の阻害あるいは細胞壁内でペクチンへのアクセスを阻害していると予想されている。
タバコ葉(Nicotiana tabacum)の細胞壁から高濃度のLiClを用いてタンパク質を抽出すると、葉の展開に合わせて抽出画分内の分子量約42Kのタンパク質が微増する。42Kタンパク質のN末端アミノ酸配列を元に、トマトPGβSと高い相同性を持つタバコPGbSホモログを得た。タバコPGβSホモログのmRNAの発現は展開中の葉では見られたが、成熟した葉では見られなかった。タバコPGβSホモログの発現を抑制する目的で、トマトモザイクウイルスをベースとしたウイルスベクターに遺伝子配列の一部を導入し、Nicotiana benthamianaに感染させた。感染1週間程度でウイルス接種葉に壊死が見られ、接種葉上部の葉でサイレンシングが誘導される感染3週間目には成長の遅れが見られた。タバコPGβSホモログの発現時期と発現抑制の結果から、このタンパク質の葉の成長に関わる機能が期待される。
著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top