日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

イネ科植物細胞壁成分の生合成制御に関する研究
*間瀬 浩平佐藤 かんな中野 仁美西窪 伸之梶田 真也北野 英己芦苅 基行松岡 信片山 義博
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 245

詳細
抄録
イネ科植物では、多糖に結合したヒドロキシケイヒ酸類 (polysaccharide-linked hydroxycinnamoyl esters, PHEs)を介した、リグニンと多糖の結合が、細胞の表層や維管束の細胞壁に特徴的に形成される。この架橋構造は、急激に伸長し、かつ重い種子を支えなければならないイネ科植物の柔軟性や、細菌からの防御などに対して非常に重要な役割を持つと考えられている。しかし、PHEsの合成と制御については、その代謝系がリグニンの代謝系と重複し、同一組織で蓄積するため、PHEsについてのみの解析が非常に困難ではほとんど進んでいない。
 そこで本研究では、壁成分の一つであるPHEsを節間柔組織に過剰に蓄積するイネ一遺伝子欠損変異体ふ系71号を用い解析を行った。その結果、この変異体の柔組織ではwild-typeと比較して、PHEs合成のためにフェニルプロパノイド代謝経路に芳香族アミノ酸を供給するシキミ酸代謝経路遺伝子のDAHPSから、フェニルプロパノイド代謝経路遺伝子の4CLまでが高発現していることが明らかとなった。さらに、PHEs合成に特徴的に関与する各遺伝子を特定することに成功した。そして、PHEs合成のための遺伝子発現制御が、遺伝子の欠損が原因となりどのように行われるかについて検討した。
著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top