日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネカルスでショ糖とアブシジン酸が協調して誘導する遺伝子群の単離
*秋廣 高志植木 千恵Lobna Ben Mohamed水野 幸一藤村 達人
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p. 265

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抄録
我々はこれまでに澱粉合成の鍵酵素と言われているAGPase large subunit (AGPL)の発現が、イネカルス中で糖の添加によって上昇することを報告した。その一連の研究の中で、アブシジン酸(ABA)に対するAGPLの発現応答を調べたところ、ショ糖(Suc)と同時に処理した場合、Suc単独の場合よりも5倍程度発現量が増加することを見いだした。ABA単独では発現量に変化は見られず、この応答はSucと協調的であると推測された。ABAは糖シグナルと密接な関連があることで知られている。そこで、AGPLと同様に発現が誘導される遺伝子を網羅的に調べることで、澱粉合成初期の調節のメカニズムに迫れないかと考えた。今回は、遺伝子の発現量の微弱な増減を検知することが可能なcDNA-AFLP法を用いて、同条件下で発現量が増加する遺伝子の単離を試みた。検出された約一万本のバンドの解析から、SucまたはABA単独では発現量に変化がないものの、同時に処理した場合のみに増加したものが80個あった。その中にはRice Branching Enzyme 4、Sucrose Synthase 3、Hexose Transpoterといった、澱粉合成や糖代謝に関連する遺伝子が含まれていた。
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© 2004 日本植物生理学会
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