日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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スペルミンによるタバコMAPキナーゼの活性化
*高橋 芳弘Thomas Berberich宮嵜 厚瀬尾 茂美大橋 祐子草野 友延
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p. 269

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抄録
 プトレッシン,スペルミジン,スペルミンなどのポリアミン類は,様々な生理現象や発育過程に影響を及ぼす低分子の有機陽イオンであり,高浸透圧,塩,低酸素,低温,病原体感染など様々なストレス応答にも関与していることが知られている.近年の研究から,ポリアミン類の一つであるスペルミン(Spm)は,タバコ植物においてサリチル酸とは独立にPR(pathogenesis-related)タンパク質を誘導すること,さらにタバコモザイクウイルスに対する抵抗性を付与することが示され,病原体感染時のシグナル分子の一つと考えられている.そこで,我々はこのSpmの作用に着目して研究を行い,MAPキナーゼであるSIPK(salicylic acid-induced protein kinase)とWIPK(wound-induced protein kinase)を共に活性化することを示した.また,SpmによるMAPキナーゼの活性化はカルシウム依存的であり,抗酸化剤の前処理によって強く抑制された.我々の結果は,Spmが病原体に対する抵抗性や過敏感細胞死に関与しているシグナル分子であり,Spmシグナル伝達経路には活性酸素種とカルシウムが関与していることが示唆された.
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© 2004 日本植物生理学会
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