日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナの根における細胞質型グルタミン合成酵素の窒素環境に適応した制御
*石山 敬貴井上 恵理高橋(渡部) 晶子小原 実広山谷 知行高橋 秀樹
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p. 282

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抄録
グルタミン合成酵素(GS)は、NH4+とグルタミン酸を基質とし、グルタミンの合成を触媒する。シロイヌナズナの根で発現する4つの細胞質型GS (GS1; GLN1;1GLN1;2GLN1;3GLN1;4)の酵素特性を決定した。GLN1;1及びGLN1;4分子種は基質に対し高い親和性を示し、逆に、GLN1;2及びGLN1;3分子種は低い親和性を示した。GS1プロモーターGFP解析の結果から、無窒素処理により、NH4+トランスポーター(AMT)と同調的に、高親和型GLN1;1が、根毛、表皮に特異的に発現することが明らかとなった。低窒素条件下における根の表皮細胞では、高親和型のAMTとGLN1;1分子種が、NH4+の吸収、同化を協調的に行っていると考えられる。対照的に、NH4+過剰条件下では、内鞘細胞で発現する低親和型GLN1;2 mRNAの急激な増加が観察された。GLN1;3は、比活性が高い低親和型GSであるが、高濃度のグルタミン酸により活性が著しく阻害され、さらに、NH4+の供給により、mRNA蓄積量が減少した。以上の結果より、NH4+過剰条件下では、維管束において、根内部のNH4+濃度の上昇に適応した低親和型GS、GLN1;2、GLN1;3が制御されていると考えられる。
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© 2004 日本植物生理学会
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