日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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イネアンモニウムトランスポーターの発現制御と機能解析
*園田 裕池田 亮山谷 知行山口 淳二
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p. 283

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抄録
アンモニウムイオンは,硝酸イオンと並んで植物が利用する重要な無機窒素栄養素であり,その取り込みにはアンモニウムトランスポーター(AMT)が機能する。イネのゲノムには3種類のOsAMT1遺伝子(OsAMT1;1-1;3)が存在し,それぞれ互いに異なる発現パターンを示すことを明らかとした(Sonoda et al. Plant Cell Physiol. 44: 726-734, 2003) 。本研究ではOsAMT1遺伝子群のさらに詳細な機能解明を目指した。グルタミン合成酵素反応の阻害剤を用いた実験の結果、OsAMT1遺伝子群の発現は基質であるアンモニウムイオンではなく内生のグルタミンによって制御されていることが示唆された。OsAMT1;1および1;2はグルタミンによって正の発現制御をうけていること,それに対してOsAM1;3は負の発現制御をうけていることが明らかとなった。一般に植物の窒素吸収機構は,細胞内グルタミンによって負に制御されることが知られているが,イネでは正に制御されるといった新規な窒素吸収機構を見出した。イネは主要な窒素源として有害なアンモニウムイオンを主に取り込むため,すみやかにグルタミンに代謝する必要がある。すなわちイネでは細胞内に蓄積できないアンモニウムイオンではなく,無害なグルタミンを指標としたNステータス認識機構が存在しているものと考えられた 。
またOsAMT1;2を植物体全体で過剰に発現させた形質転換イネを作出し解析しており,その結果も併せて報告する。
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© 2004 日本植物生理学会
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