日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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緑色硫黄細菌のカロテノイド生合成には何種類の酵素が必要か?
*高市 真一
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p. 285

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抄録
緑色硫黄細菌Chlorobiaceaeは5属15種が知られている.Chlorobium tepidumは全カロテノイド,全ゲノム塩基配列,一部のカロテノイド合成遺伝子が同定された.クロロバクテンとγ-カロテンとその1,2-ジヒドロ体,OH-クロロバクテンとOH-γ-カロテンの配糖体C12:0エステルを持っている.C. phaeobacterioidesはイソレニエラテン,β-イソレニエラテンが主成分で,微量のOH-クロロバクテンとOH-γ-カロテンの配糖体C12:0エステルも持っていた.数%の7,8-ジヒドロ-β-カロテンはニューロスポレンの両側がβ末端基に環化したと考えられる.C. vibrioformeはクロロバクテンとγ-カロテンが主成分で,微量のOH-クロロバクテンとOH-γ-カロテンの配糖体C12:0エステルも持っていた.数%の7,8-ジヒドロ-γ-カロテンはニューロスポレンの片側がβ末端基に環化したと考えられる.C. limicolaはクロロバクテン,γ-カロテンだけでなく1,2-ジヒドロクロロバクテンや7,8-ジヒドロ-β-カロテンもあった.しかしカロテノイド配糖体エステルは見つからなかった.C. tepidumからCrtB, CrtP, CrtQ, CrtH, CrtC, CrtUが見つかったが,リコペン・シクラーゼ,糖転移酵素,C12:0脂肪酸転移酵素,1,2-飽和化酵素が必要であり,カロテノイドの多様性は基質特異性の違い,酵素の存在の有無によると考えられる.最近Chlorobiaceae内の分類が再編成された.
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© 2004 日本植物生理学会
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