日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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ラン藻Plectonema boryanumのMg-キラターゼ破壊株として単離されたクロロフィル含量低下変異株の形質解析
須田 亮輔増田 建高宮 建一郎*藤田 祐一
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p. 291

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抄録
クロロフィル(Chl)の生合成系は、グルタミン酸からプロトポルフィリンIX(Proto)までの段階をヘム生合成系と共有している。光合成細胞にとって、主要なテトラピロールであるChlとヘムの供給を適正に分配することはきわめて重要であるが、その分子機構は不明である。Mg-キラターゼは、Chl特有の合成系Mgブランチの最初の酵素であり、ProtoにMg2+を挿入する反応を触媒しており、Chlとヘムの分配機構に重要な役割を有していることが推定されている。完全暗所でも生育が可能なラン藻Plectonema boryanumは、遺伝子操作も容易であることから、他のラン藻では難しいと考えられるChl欠損株の単離が可能である。そこで、本ラン藻のMg-キラターゼのChlDサブユニット遺伝子chlDをクローニングし、その欠損株の単離を試みた。chlDをカナマイシン耐性遺伝子の挿入で破壊したプラスミドを電気穿孔法により細胞に導入し、暗所でスクリーニングすることにより形質転換体A5101を得た。サザン解析の結果、A5101は一回組換え体であり野生型chlDを有することが分かったが、Chl含量は野生株の約10%に低下し、明所で光合成的には生育できないという形質を示した。また、暗所での従属栄養的生育の世代時間が野生株よりも短かった。A5101の形質の解析結果をふまえて、ChlD蛋白質の機能について考察する。
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© 2004 日本植物生理学会
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