日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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Synechocystis sp. PCC6803におけるグルコース利用の光要求性
*田部井 陽介岡田 克彦都筑 幹夫
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p. 292

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抄録
Synechocystis sp. PCC6803は光独立栄養的にも生育が可能であるが、グルコースを栄養源とする光従属栄養的生育は1日5分間の光照射により維持される。その原因を調べる過程で、牧田らは暗所に置いた細胞ではグルタミン酸のプールサイズが低下し、光の照射で上昇することを報告した(日本植物学会年会、2001)。このことから解糖系やTCA回路が暗所で失活し、光で活性化すると考えられた。そこで、解糖系の酵素をコードすると予想される遺伝子約15個について、その発現量と光照射の影響を調べた。sll0018slr0884はNorthern hybridization で転写産物が確認できたが、sll0884はRT-PCR による転写産物の検出が必要なほど少量であった。そのうちsll0018など複数の遺伝子は暗所で発現が抑えられ、光照射下では増加した。また、sll0018はfructose-bisphosphate (FBP) aldolaseをコードしていることから、FBP aldolaseの活性を測定したところ、暗所に置いていた細胞での活性は光照射した細胞より低かった。これらの解析結果からSynechocystis sp. PCC6803で従属栄養的生育に光が必要な理由は暗所ではFBP aldolase の遺伝子発現が転写レベルで抑えられることにより、グルコース代謝が低下するためと思われた。
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© 2004 日本植物生理学会
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