日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリアSynochocystis aquatilis SI-2株の貯蔵多糖構造の解析
*高橋 純一郎桜井 彩鈴木 英治藏野 憲秀中村 保典
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p. 293

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抄録
シアノバクテリアにおける貯蔵多糖は、一般的にグリコーゲンと考えられてきた。この事を確認するために57種のシアノバクテリアについて調べた結果、典型的なシアノバクテリアのグリコーゲンとは異なる構造を持つ4種が見い出された。その1つ、Synechocystis aquatilis SI-2株について解析した。シアノバクテリア細胞から、アルコール抽出で多糖を調製し、イソアミラーゼによりα-1,6結合を切断した後、キャピラリ-電気泳動により、鎖長分布を調べた。その結果、典型的なシアノバクテリアグリコ-ゲンを持つSynechocystis sp. PCC6803で、DP(重合度)8以下の割合は、30 %以上なのに対し、S. aquatilisは15 %で、短鎖の割合が低く、またDP≥37の長鎖の割合は6803株では<1 %、イネ胚乳では7~8 %であるのに対し、S. aquatilisでは4.5 %で、長鎖の割合がイネ胚乳と6803株の中間であることが明らかとなった。アルカリに溶解した多糖を、Sephacryl S-1000により、分子サイズにもとづいて分画した結果、S. aquatilisの多糖の溶出ピークは、6803株のものよりも高分子側にあり、イネのアミロペクチンと同じ位置であった。さらにλmaxは530 nm付近で、明らかに一般的なシアノバクテリアのグリコーゲンとは異なっていた。また、S. aquatilisについて多糖代謝に関わる遺伝子のクロ-ン化を行ったところ、シアノバクテリアとしては例外的に3つの枝作り酵素遺伝子が同定された。
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© 2004 日本植物生理学会
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