日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

Riプラスミド由来アグロピン合成酵素遺伝子プロモーターの傷害誘導におけるCa2+の関与
*木山 和子猪口 雅彦近藤 弘清
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 296

詳細
抄録
 我々はこれまでに、Agrobacterium rhizogenesのRiプラスミドにコードされているアグロピン合成酵素遺伝子(Ri-ags)の発現特性について、Ri-agsプロモーターとGUS構造遺伝子との融合遺伝子(Ri-Pags-GUS)を導入したタバコを用いて解析し、Ri-agsプロモーターが葉で傷害誘導性を示すことを明らかにした。この傷害誘導は、ジャスモン酸等の既知の傷害応答仲介物質及び新規タンパク合成を要求しないことから、Ri-agsプロモーターは新規信号伝達経路を介して傷害により一次的に誘導されることが示唆された。また、この傷害誘導がEGTAやLa3+により抑制されたことから、この信号伝達経路は細胞外Ca2+を必要とすることが示唆された。
 今回、我々はRi-ags傷害誘導におけるCa2+の関与について、各種阻害剤を用いて調査した。その結果、Gd3+による処理はLa3+と同様に傷害誘導を抑制したが、L型Ca2+チャネル阻害剤verapamilは傷害誘導を抑制しなかった。このことから、Ri-agsプロモーターの傷害誘導における信号伝達経路はverapamil非感受性Ca2+チャネルを介することが示唆される。また、カルモジュリンアンタゴニストであるW-7、trifluoperazine及びchlorpromazineはいずれも傷害誘導を抑制しなかったことから、この信号伝達経路はカルモジュリンを介さないことが示唆される。
著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top