日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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好塩性クラミドモナスW80株GPXを発現させたタバコのストレス耐性能の向上
*村本 彩武田 徹吉村 和也金星 晴夫宮坂 均重岡 成
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p. 305

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抄録
【目的】好塩性クラミドモナスW80株由来のグルタチオンペルオキシダーゼ (C.WGPX) は動植物のそれらとは異なり、リン脂質ヒドロペルオキシドやH2O2を基質とせず、高度不飽和脂肪酸ヒドロペルオキシド(PUFAOOH)に対し高い活性を示した。一方、高等植物にはGPXアイソザイムは存在するが、それらの活性は低く、生理機能が明らかになっていないのが現状である。そこで本研究では、C.WGPXを葉緑体もしくは細胞質に発現させた形質転換タバコの種々のストレスによる膜障害への影響を検討した。
【方法・結果】α-リノレン酸ヒドロペルオキシドに対するGPX活性は、野生株では全く認められなかったが、細胞質(TcGPX-1,7,9,13)および葉緑体(TpGPX-1,6,14)発現株において、それぞれ32.7~42.1、47.5~75.3 nmol/min/mg proteinであった。パラコート(5 μM)、低温(4℃)および塩(250mM NaCl)ストレス下において、両形質転換体では野生株と比較して脂質過酸化物の生成量が抑制され、CO2固定能および光合成電子伝達能が高く保持されていた。また、すべてのストレス条件において葉緑体発現株の障害は、細胞質発現株よりも低く保持されていた。以上より、PUFAOOH消去能を付与することで膜脂質の過酸化に由来する障害に対する耐性能が向上することが明らかになった。(Yoshimura K. et al., Plant. J. 2003, 36(6) in press)
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© 2004 日本植物生理学会
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