抄録
レタス(Grand Rapids)種子の暗黒中での発芽は高温によって阻害される。マイルドな高温(28℃)の発芽阻害はABA生合成阻害剤フルリドン処理で回避されたが、シビアな高温(33℃)下での発芽誘導にはフルリドンとGA3の同時処理が必要であった。33℃では、ABA生合成の鍵酵素9-cis-エポキシカロテノイドジオキシゲナーゼの遺伝子発現が増大し、さらに、発芽阻害にかかる種子のABA感受性が著しく上昇した。また、ファゼイン酸とジヒドロファゼイン酸の定量結果は、GA3処理が種子のABA代謝を促進することを示した。フルリドンとGA3の同時処理は、ABA生合成阻害とABA代謝促進の相加的作用によって、レタス種子のABA含量をシビアな高温下で発芽が可能なレベルに低下させたと考えられる。