抄録
シロイヌナズナのLEAFY COTYLEDON1 (LEC1 )遺伝子は、胚形成において重要な機能を担っており、CCAAT-box binding factor (CBF)の構成要素HAP3 subunit様の転写制御因子をコードしている。我々はこれまでにニンジンのLEC1 ホモローグC-LEC1 を単離し、発達初期の種子胚・不定胚など胚的な性質を持つ組織において特異的に発現していることを明らかにしてきた。他の生物のCBFの報告から、C-LEC1はHAP2、HAP5様の因子と複合体を形成し、プロモーター上のCCAAT配列を認識して、胚形成制御遺伝子の発現を制御するというモデルが考えられる。
今回、酵母two-hybridスクリーニングやdegenerate primerを用いたPCRを行い、胚形成時にC-LEC1と複合体を形成すると予想される4つの因子を単離した。2つの因子(C-HAP2A、C-HAP2B)は酵母HAP2 subunitと高い相同性を示した。また、他の2つの因子(C-HAP5A、C-HAP5B)は酵母HAP5 subunitと高い相同性を示し、C-LEC1とin vitro で結合することが確認された。さらに、C-HAP2B/C-LEC1/C-HAP5AまたはC-HAP5Bが複合体を形成し、CCAAT配列を持つDNA断片を特異的に認識して結合することも明らかとなった。