日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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植物オートファジーにおけるAtATG8ファミリーの解析
*吉本 光希花岡 秀樹佐藤 修正加藤 友彦田畑 哲之野田 健司大隅 良典
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p. 328

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抄録
 オートファジー(自食作用)は、栄養飢餓等に伴って細胞質成分を液胞に輸送して分解する細胞内分解システムである。我々は、酵母においてAtg8タンパク質のC末端がAtg4プロテアーゼにより切断された後、ユビキチン化に類似した反応により脂質修飾されること、そして、このAtg8脂質修飾反応がオートファジー進行を担う分子機構の鍵になることを見いだしている。
 シロイヌナズナにはATG8, ATG4オーソログ(AtATG8, AtATG4)が存在し、その詳細が明らかになっていない植物のオートファジーにおいても同様の役割を担っていることが予想される。酵母Atg8はオートファジーの進行に伴い液胞内に移行することが知られている。そこで、GFP-AtATG8融合タンパク質を発現させた形質転換植物を作製し、その挙動を観察した。GFP融合タンパク質は細胞質中のリング状構造に局在し、窒素飢餓条件下で液胞内への移行が観察された。また、2種のAtATG4のT-DNA挿入株をそれぞれ取得し、その二重変異株におけるGFP-AtATG8融合タンパク質の挙動を解析したところ、GFP融合タンパク質は窒素飢餓条件下でも液胞内へ移行しなかった。以上の結果は,植物個体において、初めてオートファジーをモニターすることが可能となったことを意味している。
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© 2004 日本植物生理学会
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