抄録
イネにおけるジベレリン(GA)代謝系の概容を明らかにすることを目的として、ジベレリンの生合成に関わるCPD合成酵素(CPS)、カウレン合成酵素(KS)、カウレン酸化酵素(KO)、カウレン酸酸化酵素(KAO)、20酸化酵素(GA20ox)、3酸化酵素(GA3ox)と、ジベレリンの不活化に関わる2酸化酵素(GA2ox)をコードすると考えられる29の候補遺伝子を、ゲノムデータベース解析により単離した。発現解析や突然変異体の解析の結果、ジベレリン生合成の前半に関与するCPS、KS、KO、KAOはそれぞれ1遺伝子にコードされていると考えられたのに対し、後半に関与するGA20ox、GA3ox、GA2oxは遺伝子ファミリーを構成していた。シロイヌナズナとは異なり、CPS様、KS様、KO様遺伝子はイネに複数存在し、染色体上でクラスターを構成していた。それらのうちのいくつかの遺伝子は、紫外線処理やエリシター処理により発現が誘導されたことから、ジベレリン生合成ではなくファイトアレキシン生合成に関与していると考えられた。