日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ種子発芽における環境要因によるジベレリンの不活性化の制御
*山内 雪香Damian O'Neill小川 幹弘桑原 亜由子花田 篤志神谷 勇治山口 信次郎
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p. 332

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抄録
種子の休眠と発芽は種々の内的、外的因子により制御される。我々は今までに、シロイヌナズナの種子発芽を促進する事が知られている光(赤色光)や低温処理(暗所、4°C)が、ジベレリン生合成酵素GA 3-oxidaseをコードする遺伝子の発現を増加させることを報告した。一方、活性型ジベレリン量はその不活性化を触媒するGA 2-oxidaseによっても直接的に制御されうる。GA 2-oxidaseをコードする遺伝子群の発現量は、明所(連続白色光下)での発芽種子中では低かったが、AtGA2ox2遺伝子の転写産物量は、暗黒下吸水中(22°C)に顕著に増加した。また、暗所でのAtGA2ox2 mRNAの増加は、4°Cでは認められなかった。AtGA2ox2の機能欠損変異株の種子においては、遠赤色光(FR)パルス照射による発芽抑制が一部解除されることから、FR照射による発芽抑制の維持にはAtGA2ox2の発現増加が重要であることが示唆された。以上の結果から、温度や光等の環境要因による発芽や休眠の制御には、活性型GAの合成と不活性化の両経路が関わっていることが示唆された。
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© 2004 日本植物生理学会
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