日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナにおけるブラシノステロイドとオーキシンのシグナル伝達系路のクロストーク1~シグナル伝達の相互作用点の検討
中村 郁子郷田 秀樹林 謙一郎*嶋田 幸久浅見 忠男吉田 茂男
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p. 340

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抄録
 我々は早期オーキシン応答性遺伝子、IAA3, 5, 19, SAUR-AC1と、オーキシン応答性エレメントDR5がブラシノステロイド(BR)処理により早期に誘導されることを既に報告した。BRとオーキシンの誘導パターンは早期応答性遺伝子とDR5との間で非常によく似ていた。GeneChipを用いてブラシノステロイドとオーキシン応答性遺伝子を網羅的に解析して分類し、それら遺伝子の上流配列を解析した結果、オーキシン応答性エレメントTGTCTCはオーキシン特異的に応答する遺伝子ではなく、BRとオーキシンで共通に応答する遺伝子に保存されていた。ユビキチン活性化酵素E1の類似タンパク質AXR1は、オーキシンのシグナル伝達を制御していると考えられている。axr1変異体ではBRによる下胚軸や葉柄の伸長促進とSAUR-AC1遺伝子のBRによる発現誘導が阻害されていた。従ってAXR1はオーキシンとBRで共通のシグナル伝達因子として伸長誘導に関わっていると考えられた。オーキシン競争阻害剤とされるPCIB及びシグナル伝達阻害剤YkBの存在下でオーキシン早期応答性遺伝子の発現を調べた結果、BRによる誘導はPCIBでは阻害されずYkBで阻害されたことから、BRのシグナル伝達はオーキシンの受容からプロテオソームによるタンパク質分解系の上流でオーキシンのシグナル伝達と相互作用していることが示唆された。
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© 2004 日本植物生理学会
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