日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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表層微小管の分枝による形成
*村田 隆園部 誠司堀尾 哲也堀 孝一渡辺 雄一郎長谷部 光泰
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p. 351

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抄録
細胞壁を持つ緑色植物の細胞では、細胞膜に沿って微小管が並び、表層微小管列がつくられる。表層微小管は細胞膜近傍で生じたあと形成部位から切り出され、細胞膜に沿ってトレッドミルにより動くことが知られている。本研究では、表層微小管が細胞膜近傍で生じる分子機構を明らかにするため、in vitro系での解析を行った。タバコ培養細胞プロトプラストから調製した単離細胞表層(細胞膜ゴースト)を細胞質抽出液で処理するとゴースト上の微小管が増加する。抽出液にローダミン標識チューブリンを加えることにより、新たに生じた微小管を処理前から存在していた微小管と識別することに成功した。表層微小管上に点在するγ-チューブリンは抽出液処理により増加し、新たに生じた微小管は、表層微小管に結合したγ-チューブリンのある場所から伸長した。抗γーチューブリン抗体は新たな微小管形成を阻害した。抽出液処理前にゴースト上の微小管を破壊すると、新たな微小管は形成されなかった。これらの結果から、細胞内においては、既存の表層微小管に細胞質中のγ-チューブリンが結合し、新たな表層微小管がそこから伸長開始することが予想された。in vivoにおける微小管の分枝とγ-チューブリンの関係をNicotiana benthamianaを用いた遺伝子サイレンシングの実験系を用いて解析中である。
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© 2004 日本植物生理学会
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