抄録
目的: 稲の低温誘導性遺伝子として単離したlip19は、bZIP(basic region leucine zipper)タンパク質をコードすることから低温ストレス時における遺伝子発現の制御に関与すると思われるが、その詳細は不明である。従ってLIP19の機能解明を目的とした。
方法と結果: LIP19はそれ自身では二量体形成能やDNA結合能を欠失している。昨年、本大会で酵母two-hybrid systemを用いてLIP19と相互作用するタンパク質をコードするクローンとしてOsOBF1の単離を報告した。後者の遺伝子産物はトウモロコシ由来のbZIPタンパク質OBF1と高い相同性を示した。今回、LIP19とOsOBF1の相互作用についてpull-down検定法により再確認した。さらにLIP19の細胞内局在性、LIP19の二量体形成ができない理由がロイシンジッパー部分に有る事、OsOBF1とlip19の稲葉身での空間的発現部位が同じである事等を明らかにした。両遺伝子の低温に対する発現が相反することを踏まえ、LIP19の低温ストレス時の機能を考察する。