日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナ耐凍性突然変異体freezing tolerant 1 (frt1)の単離と生理学的解析
*矢野 亮一中村 正展林 浩昭西田 生郎
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p. 356

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抄録
シロイヌナズナを含め、温帯域に生息する高等植物は、外気温の低下に伴い自らの凍結に対する耐性(耐凍性)を増大させる。この現象は低温馴化として知られ、CBF/DREB1 (C-repeat binding factor/Dehydration responsive element binding protein 1) 転写因子の発現が低温馴化を促進することがわかっている。しかし、耐凍性増大のしくみはまだ十分にわかっていない。我々は、耐凍性増大の機構を明らかにする目的で、シロイヌナズナのT-DNAタギングラインから、低温馴化につづき脱馴化させた際に高い耐凍性を維持する突然変異体を選抜してきた。今回、野生型植物体に較べて顕著な耐凍性の上昇を示す突然変異体freezing tolerant 1 (frt1) を単離したので報告する。frt1は脱馴化時のみならず未馴化時や低温馴化時にも野生型より高い耐凍性を示したが、CBF/DREB1やその下流のCOR (Cold-regulated) 遺伝子群の転写産物レベルは野生型と殆ど違いがみられなかった。また、プロリンの蓄積レベルは野生型よりもやや低かった。一方、frt1は野生型よりも恒常的に高い糖レベルを示したので、frt1の示す耐凍性表現型は植物体内での糖の蓄積によるものと考えられた。今回の発表では、このfrt1変異体の生理学的解析の結果を報告する。
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© 2004 日本植物生理学会
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