日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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低温馴化の過程で増大するlipocalin-likeタンパク質の機能解析
*富永 陽子中川原 千早上村 松生
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p. 358

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抄録
植物の耐凍性は、細胞膜の構造的・機能的損傷を回避する機構によって左右されていると考えられている。低温馴化の過程で生じる生理的な変化の中でも、細胞膜に関連したタンパク質が耐凍性獲得に果たす役割は重要であると考えられるが、その機能については不明な点が多い。本研究では、Arabidopsisの低温馴化の過程におけるプロテオーム解析によって同定された、量的に変動する種々の細胞膜タンパク質の情報に基づき、細胞膜タンパク質の可溶化される成分に含まれ、低温馴化によって顕著に増大するlipocalin-likeタンパク質に着目して解析を行った。lipocalin-likeタンパク質をコードする遺伝子は低温馴化1日目までに発現が増大するが、その後は減少する。それに対し、細胞膜タンパク質に占める量は低温馴化7日目まで増大を続けることから、低温馴化の過程におけるlipocalin-likeタンパク質の挙動を明らかにするため、局在性の解析を行った。さらに、耐凍性の獲得におよぼす影響をin plantaで明らかにするため過剰発現形質転換体を作成し、植物組織およびプロトプラストでの耐凍性評価を行った結果、lipocalin-likeタンパク質の蓄積により、野生型と比較して耐凍性の向上がみられた(本研究は生研機構の援助によって遂行された)。
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© 2004 日本植物生理学会
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