日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シスタチオニンΓ-シンターゼ mRNA 安定性の自己制御:S-アデノシルメチオニンによって誘導される翻訳の停止
*尾之内 均中本 真理永見 陽子千葉 由佳子内藤 哲
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p. 380

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抄録
シロイヌナズナにおいて、メチオニン生合成の鍵酵素であるシスタチオニンΓ-シンターゼ(CGS)遺伝子の発現は、メチオニンの代謝産物であるS-アデノシルメチオニン (SAM)に応答して mRNA 安定性の段階でフィードバック制御される。この制御には CGS 遺伝子自身の第1エキソンによってコードされるアミノ酸配列が関与し、その中でも植物間で保存されている領域の十数アミノ酸(MTO1領域)が特に重要な働きをしている。この制御は翻訳阻害剤によって阻害され、また、CGS 第1エキソンのアミノ酸配列が自身をコードする mRNA に対してシスに働くことから、この制御は翻訳中に働くと考えられる。この制御は小麦胚芽抽出液を用いた in vitro 翻訳系においても、SAM に応答して誘導される。その際、誘導条件下では、MTO1 領域近傍までの部分翻訳産物の蓄積がみられた。このことから、SAM によってこの制御が誘導されると、MTO1 領域近傍で翻訳の停止が起こると考えられる。さらに、ポリソームプロファイル解析によって、CGS 第1エキソンを含む mRNA の5'側を欠いた分解中間体はリボソーム画分にのみ検出されたことから、in vivo においても CGS の転写後制御が誘導される際には mRNA 上でリボソームの停止が起こることが示唆された。
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© 2004 日本植物生理学会
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