日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シロイヌナズナのシスタチオニンγ-シンターゼ遺伝子におけるmRNA安定性制御機構:in vitro系でのRNA分解中間体の解析
*櫻井 玲子尾之内 均内藤 哲
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p. 381

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抄録
シスタチオニンγ-シンターゼ(CGS)は、メチオニン生合成において鍵となる段階を触媒している酵素である。シロイヌナズナのCGS遺伝子の発現はメチオニンの次の代謝産物であるS-アデノシルメチオニンによってmRNAの安定性の段階で制御されおり、これまでの解析からこの制御は小麦胚芽抽出液のin vitro翻訳系で再現されることが示されている。また、植物間でCGSのアミノ酸配列を比較すると、第1エキソンは全体的に保存性が低いが一部高度に保存されている領域(保存領域)が存在する。in vitro翻訳系においてCGS第1エキソンを持ったmRNAを翻訳反応させると全長より300塩基程度短いRNAが検出された。この短いRNAは5’側を欠いており、CGS mRNAの分解中間体と考えている。また、CGS第1エキソンの欠失変異を作製し、in vitro翻訳系を用いて短いRNAの生成に必要な領域を調べたところ、CGS第1エキソン内の保存領域が必要であることが示された。保存領域のみを用いた場合にも短いRNAの5’末端は第1エキソン全長を用いた場合と同様の位置であった。現在、この短いRNAがエンドヌクレアーゼで切断されているのか、エキソヌクレアーゼで分解されているのか調べるために、5’側のRNA断片の検出を試みている。
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© 2004 日本植物生理学会
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