日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第45回日本植物生理学会年会講演要旨集
会議情報

ラン藻、Anabaena sp. PCC 7120のCOS (Alr2428) タンパク質の生化学的解析
*成川 礼片山 光徳宮武 秀行金 成勲三木 邦夫大森 正之池内 昌彦
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 383

詳細
抄録
ラン藻 Anabaena sp. PCC 7120は、窒素固定を専門的に行うヘテロシストを有する。窒素固定を行うニトロゲナーゼは酸素によって不活性化されるため、ヘテロシスト内は嫌気状態に保たれる。このような生理現象には、酸素の感知が重要な役割を果たすと考えられる。バクテリアの酸素センサーとして、根粒菌のFixLや大腸菌のDOSなどのタンパク質のヘムPASドメインが知られている。我々は、これまでに、Anabaena 7120のゲノムから、ヘムPASドメインを含むAlr2428タンパク質を見出し、COS (Cyanobacterial oxygen sensor) と名付け、そのドメインが酸化還元状態を感知しうることを生化学的に示した。このCOSタンパク質は、11個のドメインから成り、ヘムPASドメインのC末端側にヒスチジンキナーゼドメイン、N末端にレスポンスレギュレータードメインと、OmpR型DNA結合ドメインを持つ、特異なドメイン構造を有していた。本研究では、このようなマルチドメインタンパク質の酸素感知機構を詳細に解析するために、ヘムPASドメインとヒスチジンキナーゼドメインとの部分タンパク質、レスポンスレギュレータードメインとOmpR型DNA結合ドメインとの部分タンパク質をそれぞれ発現、精製した。前者に関しては、酸化状態、還元状態におけるリン酸化能、後者に関しては、アセチルリン酸存在下、非存在下におけるDNA結合能をそれぞれ測定した。これらの結果から、このタンパク質の酸素感知機構について議論する。
著者関連情報
© 2004 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top